「ワッホーイ!!」
背後から、陽気な若い男性たちの叫び声と共に、
ゴゴゴゴゴゴゴッーーーーという爆音。
後ろを振り向くと、スケボーに乗ったパリピ風の若者集団が、私たち夫婦の側を駆け抜けていった。
10人はいるだろうか。
ちょっとした暴走族?
ここは、「狸小路」のアーケード。
札幌の街を横長に伸びる商店街だ。
少しずつ人の流れが戻ってきているものの、20時近くなると人もまばらだ。
スケボー集団は、オラオラオラ~!!
とばかりに、勢いがいい。
商店街の横のシャッター素材の壁に思い切りぶつかり、Uターンしてみたり、やりたい放題。
確かに人はまばらだけども、危ない。
何より、ここは人が通る場所。
「注意するやつはおらんのか!」
腕組みをして憤慨する男が1人。
↑
夫(笑)
見た目は40才過ぎ、口ヒゲの風貌。
腕組みしている顔はなかなか貫禄がある。
しかし、目線を首から下に落とすと、
Tシャツ、短パン、ポーチ、靴下……全てにスヌーピーが入っている。
ひょっとして、この男はスヌーピーが好き??
私の少し手前で、スケボー集団が暴走しながらUターンしている。
確かに、誰も注意しない。
ことなかれ主義なのか?
と思っていたら。
「おい、にーちゃん達。迷惑やで」
と男が口を開いた。
その瞬間、パッとこっちを振り向いた若者が、すごい勢いで逃げていった。
その早さたるや!
しかし、私は10秒スイッチ名人だ。
0.1秒の瞬間を逃さない(笑)。
男が「おい」と言いかけた瞬間、若者2人が振り向いた。
意外なことに、若者の目は怯えていた。
凄く小さな声で「あ、すみません」と言いかけながら、
2人とも超速で逃げていった……。
「おい」の続きの「にーちゃん達。迷惑やで」を
男が最後まで言った時には、もう遥か彼方に2人は逃げていた。
……。
逃げ足はやっ!
全身をスヌーピーで包んだ男は、意外にも迫力があった(笑)。
それにしても、男も私も、30年以上前は、こんな風に注意される側だったと思う。
あの若者たちも、10年経てば、子供を連れてこのあたりを歩いているかもしれない。
1873年には既に存在していた歴史ある「狸小路」を歩きながら、
時の流れを感じた。
色々な人を包み込む狸小路の懐の深さも同時に感じた。
10年後。
男はまだスヌーピーの洋服を着ているだろうか?
笑。