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成功する人はマネから入る【守破離】

「守破離」という言葉があります。
物事が上手くいく人とそうでない人の違いは、
「素直さ」とよく言われます。

私は守破離の「守」の段階で、「素直さ」が問われる、とよく思います。
師匠の型を守ることが「守」なのですが、
自分の「我」が出る人、中途半端に自信がある人は、
この「守」の域に達することができないようです。

だから、最初はよいようでも、中途半端な結果しか出ない。
自分は能力があるのに、と結果に対してプライドが邪魔をする。
「我」が出るんですね。

あ。
これ、過去の私です(汗)。

私は過去の体験から「守」が最も大事、と確信しています。
稀にみる天才以外は・・・。

私が「守」の域を経験したのは、35歳の時。
そう、書籍にも書きましたが「人生の転機」の時でした。

あの時「守」をきちんと通過したから、「今」の私がいると思うのです。
(昨日、ご紹介した“文章のリズムの師匠”とか・笑)

◆私の失敗談(?)をご紹介しましょう。
大学時代、私はジャズ研に入っていました。

2歳半からクラシックピアノを習っていましたが、
自由奔放すぎるアドリブ演奏のしすぎで、
破門されたという経歴を持つ私(爆)。
(一切練習しないで、先生の前でデタラメに弾いた、ともいう)

それから何年も経ち、自由なジャズに興味を持ちました。
大学に入ってすぐに、迷うことなくジャズ研に入り、
同時にジャズピアノを習い始めました。

超久々にピアノに触りましたが、
そこは「三つ子の魂」。
たった2週間ほど、毎日ピアノを触っていると、
すぐに昔の感覚を取り戻すことができました。

小さい頃に始めたものって、体が記憶しているものなんですね。

60代のジャズピアノの先生が
「よくそんなに、指が動くね!」
「僕はクラシックを経験していないし、大人になってからピアノを始めたから、
そんな風には決して速く指が動かない。羨ましいよ」
とおっしゃるほどでした。

私はすぐに、ジャズピアノの演奏を覚え、
「才能あるんじゃない」と、先生を驚かせました。

◆ジャズ研の同期に、男の子がいました。
高校3年の時に電子ピアノに興味を持った、
という子で、我流で弾いていました。

お世辞にも上手いとは言えず、
小さい頃からピアノを習っていた私とは、正直、実力の差がありすぎました。
誰もがその時、私の方が上手いと思っていたはずです。

彼は、私がジャズピアノを次々と演奏していることに興味を持ち、
「僕も同じ先生の所で習う」と言い出しました。

大丈夫かな??
と私は心配しました。
彼が、ジャズピアノをマスターするとは、とても思えなかったからです。

実際、先生も最初は「彼はちょっと・・・ね」と言うほど、
やはり・・・な感じでした。

ところが、1年も経たないうちに奇跡が起きるのです。
一体、何があったのでしょうか?

◆先生も心配するほど、演奏ができなかった彼。
その後、彼はビル・エヴァンスの『枯葉』の演奏を聴き、すっかりビル・エヴァンスに惚れこんでしまいました。

「僕もこんな演奏がしたい!」

ビル・エヴァンスは巨匠ですからね。
えぇ。気持ちはわかりますとも。

彼は楽譜屋に行って、ビル・エヴァンスの『枯葉』の完全コピーの譜を手に入れました。
そして、全くソックリに弾く練習をし始めました。

正直、私からすると「邪道」でした。
人マネなんて!
そういう感覚でした。

ジャズなんだから、楽譜から離れて自分の感性で弾けばいいのに。
そう思ったのです。

彼は何かに憑りつかれたように、来る日も来る日もコピー譜通りに弾いていました。
私は「我流」を貫き、勝手に弾くことを続けていました。

このとき、まさか「絶対的な開き」が数か月後に出るとは思いもしませんでした。

◆それから約9か月後。
ジャズピアノの生徒の発表会がありました。

彼はもちろん、『枯葉』を選曲。
私は・・・難曲の『クレオパトラの夢』を選曲。
私には弾ける、という自信がありました。

発表会の当日。
彼は生徒の中でも、一番の初心者だったので、
出番も一番最初でした。

ところが・・・。
彼が演奏を始めた瞬間、会場はシーンとなりました。
私は息をのむほど驚きました!!

彼の演奏は、ビル・エヴァンスの『枯葉』を超えていたのです。
彼自身にしか弾けない、彼の心の内部からあふれ出る、
美しい旋律が、会場を包んでいました。

あれほど、ビル・エヴァンスをコピーし、
そこまでコピーしたら、彼の演奏なんてできるはずない。

そう思っていたのに、
流れる旋律は、紛れもなくオリジナルな「アドリブ演奏」でした。

鳥肌が立ったのを覚えています。

◆守破離。
彼は、コピーで「守」を徹底的に貫いていくうちに、
自分に合う型が自ずとわかっていったのです。

そして、その過程で『枯葉』の曲そのものへの理解を真に深めていったのでしょう。
同時に、彼自身への理解が深まっていったのだと思います。

楽器演奏に没頭していると、自分の心と深く繋がる瞬間というものが度々訪れます。

そして・・・。
彼自身の内部に潜んでいたオリジナルな個性が、発露し始めたのだと思います。

ついに彼は、ビル・エヴァンスの『枯葉』から自由に解き放たれ、
彼にしか弾けない『枯葉』を自在に操るようになった。

そのことが、彼の演奏を一瞬、聴いただけで理解できました。
彼の素直さ。
一心に続ける素直さがもたらした奇跡。

一方、私と言えば、「私はもともとできる」という自惚れがあったせいか、
基本をおろそかにし、最初から我流を通していました。

結果、可もなく不可もなく。
そんな演奏になってしまいました。

◆1年前のスタート時点では、圧倒的に私の方が弾けていました。
でも、一心に「守」を貫いた彼は、短期間で「離」の領域に到達していました。

この経験を、私は「人生崖っぷちの35歳」の時に、突然思い出したのです。
それ以降、各分野で師匠を見つけては、
「守」を一時期、徹底して実践することを心がけました。

個性はオリジナルなものです。
誰かのマネをしようとしても、完全にその人になることは、
そもそもが不可能なのです。

ならば、いっとき、マネに徹する。
我を抑える。

そうすれば、自然に自分への理解が深まり、
豊かな土壌が創られて、やがて自分にしかできない「何か」を掴むのだと思います。

だからこそ、自分と人の違いを理解し、受け入れることができるのだと思います。

世の中の成功者は「謙虚」とよく言われます。
それは、おそらく成功者ほど、このことが腑に落ちているからだと思います。

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